難問1施設の配置計画
配置計画 その1
配置の条件として考慮しなければならないこと。
1.二人又は子供を含む家族が、同時に浴槽につかることができるサイズの浴槽(≒800?程度)の規模としたい。適切なサイズかはわからないが、とりあえず大き過ぎず小さ過ぎずといった感覚でしょうか。
2.露天風呂には、原則として、シャワーなどの洗い場をもうけてはならない為、洗い場を分離する必要があります。
3.従来通り通路として利用できること。
4.既在旧館の1室の専用露天風呂とし、中庭を観賞できるようにしたい。
5.新館から目隠し等で露天風呂が見えないこと。
6.浴槽に関係した機器(ろ過装置、ボイラー等)の設置をすること。
7.従来通り、旧館の各室からも露天風呂を通して中庭が観賞できるようにしたい。
などなどオーナーのイメージも伺いました。
計画案その1として以下の図の様な配置をしてみました。
スペースを空けることにより、石の配置密度が高くなり、石だらけの庭では見栄えも悪いのではと、大きな石をいくつか余らせました。
洗い場は、浴槽スペースと壁で仕切り、冬季でもゆっくり洗髪などもできるようにしました。
露天からの視野は、中庭に面した壁を2面開け、露天の雰囲気を楽しめるようにしました。
又、部屋からの視野は、部屋と浴室の仕切りをフィックスにすることで、露天浴槽をとおして、中庭が望めます。
新館からの目隠しや、機器の配置については、オーナーの意向を確認しながら、以後の課題としました。
配置計画その2
循環ろ過装置は、当然弊社の紫外線殺菌ろ過装置パッケージタイプが最適と考え、UVSP-2CHT(特型)とし新館と旧館、露天風呂の間に配置しました。
弊社パッケージタイプのろ過装置は、ろ過機能、紫外線殺菌機能、塩素滅菌器、自動給水機能、熱交換器による自動昇温、保温機能など浴槽水を衛生的に維持するために必要な機能をすべてパッケージ内に納めているため、機械室など設けなくても狭い軒下などで、充分です。
配管を最短とすること、機器や配管の保守性を考慮し配置しました。
新館からの目隠しについては、下図のような位置や高さに竹垣を設けることにより、中庭のメインとなる石灯篭付近が新館からも、露天風呂からも見え、なおかつ新館から露天風呂を見えなくできることを提案し、了解が得られた為、この方向でデザインを進めることにしました
配置計画その3
浴室の床面積は、当初1.5坪程度を考えていましたが、φ1,300の浴槽を設置すると、浴槽の脇まで車椅子が入れない為、200mm広げ2,000x2,730としました。
シャワー室と浴室は、引違い戸で仕切り、戸の開き方により、出入りをしたり、反対側に寄せると、体を洗いながら浴槽側の人と会話ができたりします。寒い日は締めて、暖かくして洗うこともできます。
浴槽周りは配管が有り、これを檜板で被うことにより、体の不自由な方が入浴する時の腰掛けになり、一石二鳥です。腰掛け部分の高さは、浴槽の縁に手を掛けられるように、浴槽の縁より50mmほど下げました。
天板は、配管や弁類の保守作業が、行えるように、分割し容易に取外しできるように、ネジ止めにしました。
腰掛け部分の高さを腰掛け易い高さ、400mmとすると浴槽の縁の高さは、床より+450mmになり、浴槽(H700)の据付高さは、床より250mm低い位置に据え付けることになります。
床高さは、旧館の床にあわせ、当然バリアフリーとしました。
一般的にこのような浴室の床は、目すき板にすることが多いと思いますが、目すき板の下に浴槽水が流れ込み大変汚れますし、これを掃除する為に目すき板を上げなければなりません。目すき板は、浴槽の形状に合わせデザインされるため非常に重く、日常の作業で床下の掃除は、難しいと考える為、床板は詰めて張り、床下へは水が落ちないようにしました。又、こぼれた水は、床排水口に流れるように、水勾配をつけました。
入浴時は、浴槽から水があふれると床がぬれる為、浴槽には越流口(オーバーフロー)を付けました。いずれも、清掃や保守性を考慮したものですが、詳細は、難問4「浴槽の清掃作業をできる限り簡単にする」で書きます。